足関節を急に捻ると、外側にある靭帯が断裂することがあります。この靭帯が断裂すると、痛みと腫れが生じ、足関節は不安定になります。適切な外固定などの治療を行うと良好な成績が期待されますが、不十分な治療を行うと、不安定性が残存し、軟骨が障害され、慢性的な痛みが残ります。超音波エコーで靭帯断裂を可視化して、不安定性もチェックして、適切な治療をうけましょう。
不十分な治療を行った場合、足関節の不安定性が残存し、軟骨は摩耗して、慢性的な痛みが残ります。
足関節捻挫のときに、見落とされやすい靭帯損傷です。この靭帯が損傷した時は痛みが残存しやすいため、長期外固定が必要です。
不十分な治療して、軟骨損傷が進行し、変形がおきた時の終末像です。こうならないように、初期治療が大切です。
この傷害をを放置すると、関節の不安定性が残ってしまうため、しだいに軟骨に負担がかかります。軟骨は壊れてしまうと、自己修復能力が乏しいため、痛みがなかなかとれず、後遺障害を残すことになります。スポーツのパフォーマンスも下がってしまうため、適切な初期治療が必要です。
初期治療は、安静と外固定に加えて、早期からリハビリを行い、スムースな社会(競技)復帰を目指します。組織修復のため2~4週間(程度による)の外固定と松葉杖による安静が必要です。早期競技復帰したい場合は、この時期の安静が極めて重要です。(ここで無理するとなかなか痛みがとれず、早期に競技復帰できない) 入浴時とリハビリ時は外固定をはずして大丈夫ですが、夜間の就寝時には着用してください。松葉杖ははじめは足を浮かせますが、痛みがひいてきたら徐々に体重をかけていきましょう。そのあたり、当院の理学療法士が上手に教えてくれるのでご安心ください。安静にしながらも、早期に競技復帰するための準備は進めていきます。また、再発を防ぐための指導も大切です。超音波エコーで損傷が修復状態になったら、セルフチェックを指導しながら、徐々に復帰に向けて負荷を高めていきます。
組織の修復スピードに比較して、復帰のタイミングが早いと問題が生じます。修復のための安静期間が不十分なうちに練習の強度を不用意にあげてしまうと、徐々に組織は壊れていきます。最悪の場合は、変形性足関節症に移行して、後遺障害が残ります。しかし、適切な安静期間をとり、その間に適切に再発防止の指導がなされれば、回復は順調になり、競技復帰した後にこれまで以上に競技パフォーマンスがあがる可能性があります。当クリニックではここをめざします。適切な安静期間をとりながら、適切な指導を受けましょう。
初期治療は、お薬とリハビリです。「炎症をしずめつつ、痛みをとるお薬」を内服・外用しながら、リハビリの先生の指導をうけると痛みが早く緩和します。リハビリの先生は、痛みの再燃を防ぐための指導もしてくれます。強い痛みの場合や痛みを早くとりたい場合は、局所に炎症をしずめる薬を注射します。当院では、注射をするときは超音波エコーを用いて、ターゲット部位に正確に打ちますので、安全性が高く、速やかな効果が期待できます。MRIをすることで、筋腱組織や関節の中の状態を精密に把握できます。精密検査をして正しい診断をつけましょう。正しい診断と治療によって、痛みは早く軽快し、再発をさせずに長期的な好成績を生むことができます。
消炎鎮痛剤はいろいろな種類があり、強さも副作用も異なります。上図は、その一例を示したものです。図の右に行けばいくほど、炎症をしずめる効果は高くなりますが、長期に連用すると副作用が生じる確率が増えます。逆に図の左に行けばいくほど、副作用のリスクは減りますが、効果の即効性は低くなります。適切な時期に適切な薬剤を使うことで、効果は高まり副作用を減らすことができます。そのあたりを診察で適切に指導させていただきます。
痛みのメカニズムは非常に複雑ですが、あえて単純に表現すると3つの集合の組み合わせで起こっていることが多いです。①局所の炎症 ②神経損傷 ➂心因・ストレス等。まずはじめに、①の炎症を鎮めるお薬を使うことが多いですが、神経系の痛みが疑われる場合、心因的な痛みが疑われる場合には、特有のお薬をだしていきます。それぞれのお薬には必ず、効果と副作用の両者があります。一人一人の状態に合わせて、正しく使用すると、副作用を限りなく少なくしながら、適切な効果を引き出せます。そのあたりの指導を診察でさせていただたいと思います。