後脛骨筋は、足関節の内くるぶしあたりで、くの字に曲がった走行をしています。そのため、負担がかかるとこのくの字あたりに応力が集中します。次第にその部位が損傷し、炎症が起こると痛みが生じます。
この部位には足根管というトンネルがあり、その中に後脛骨筋と神経が同居しています。炎症が悪化すると神経に波及してしびれを訴える方もいます。超音波エコーやMRIを行って、正しく診断しましょう。
腓骨筋腱は外くるぶし付近でくの字に曲がっており、ここに外傷が加わると周囲の軟部組織が損傷をうけて、脱臼することがあります
加齢や負担の蓄積によって、関節軟骨が摩耗し、次第に関節が変形します。そこに炎症が加わると痛みが生じます。
体質や食事・お酒などの要因により、尿酸値が増加するとその結晶が関節に析出して、炎症を引き起こすことがあります。
初期治療は、お薬とリハビリです。「炎症をしずめつつ、痛みをとるお薬」を内服・外用しながら、リハビリの先生の指導をうけると痛みが早く緩和します。リハビリの先生は、痛みの再燃を防ぐための指導もしてくれます。強い痛みの場合や痛みを早くとりたい場合は、局所に炎症をしずめる薬を注射します。当院では、注射をするときは超音波エコーを用いて、ターゲット部位に正確に打ちますので、安全性が高く、速やかな効果が期待できます。MRIをすることで、筋腱組織や関節の中の状態を精密に把握できます。MRIなどの精密検査をして正しい診断をつけましょう。正しい診断と治療によって、痛みは早く軽快し、再発をさせずに長期的な好成績を生むことができます。
消炎鎮痛剤はいろいろな種類があり、強さも副作用も異なります。上図は、その一例を示したものです。図の右に行けばいくほど、炎症をしずめる効果は高くなりますが、長期に連用すると副作用が生じる確率が増えます。逆に図の左に行けばいくほど、副作用のリスクは減りますが、効果の即効性は低くなります。適切な時期に適切な薬剤を使うことで、効果は高まり副作用を減らすことができます。そのあたりを診察で適切に指導させていただきます。
練習量と安静量のバランスが崩れると、疲労が蓄積しパフォーマンスが低下します。ここで、適切な休息をとり、理学療法士に適切な指導をうけると「超回復」といったよい現象が生じ、のちに競技能力が向上することがあります。当院ではここをめざします。逆に、安静を守れず練習量過多の状況がつづき、安静量と練習量とのバランスが悪くなると、長期的なパフォーマンス低下に陥り、慢性的な痛みが生じます。しだいに、腱断裂や疲労骨折、変形性関節症といった疾患に進行することもあります。するとさらに、治療期間がのび、組織の不可逆的変化が生じると回復が困難となり、活躍の道が絶たれることになります。適切な練習量と安静量のバランスをとって、痛みを予防することが競技能力の向上に大切です。万一、痛みが生じた場合は、早期に発見し、早期に対処することが需要です。当院では、こうした予防や早期対処に重きをおいた指導を行います。
痛みのメカニズムは非常に複雑ですが、あえて単純に表現すると3つの集合の組み合わせで起こっていることが多いです。①局所の炎症 ②神経損傷 ➂心因ストレス等。まずはじめに、①の炎症を鎮めるお薬を使うことが多いですが、神経系の痛みが疑われる場合、心因的な痛みが疑われる場合には、特有のお薬をだしていきます。それぞれのお薬には必ず、効果と副作用の両者があります。一人一人の状態に合わせて、正しく使用すると、副作用を限りなく少なくしながら、適切な効果を引き出せます。そのあたりの指導を診察でさせていただたいと思います。