外傷によって手関節に力がかかると靭帯が損傷することがあります。時に骨折することもあります。手には手根骨という小さな骨が複雑に配列されており、骨折や靭帯損傷の診断が難しいです。MRIやCTを行うことで、正しい診断をつけることが大切です。
外傷で靭帯が損傷すると関節は不安定になります。時に脱臼します。超音波エコーで不安定性を評価できます。
骨形態の異常、外傷、環境負荷の蓄積などにより、TFCCという軟骨複合体が損傷をうけ、炎症を生じることがあります。
骨形態の異常、外傷、環境負荷の蓄積などにより、月状骨に血行障害が起こり、骨が壊死して萎縮することがあります。
初期治療は、安静とお薬とリハビリです。サポーターなどで患部を数週間安静にして、組織の修復を促します。「炎症をしずめつつ、痛みをとるお薬」を内服・外用しながら、リハビリの先生の指導をうけると痛みが早く緩和します。リハビリの先生は、機能回復と痛みの再燃を防ぐための指導もしてくれます。強い痛みの場合や痛みを早くとりたい場合は、関節に組織修復を高める注射をします。当院では、注射をするときは超音波エコーを用いて、ターゲット部位に正確に打ちますので、安全性が高く、速やかな効果が期待できます。MRIをすることで、関節の中の状態を精密に把握できます。精密検査をして正しい診断をつけましょう。正しい診断と治療によって、痛みは早く軽快し、長期的な好成績を生むことができます。
消炎鎮痛剤はいろいろな種類があり、強さも副作用も異なります。上図は、その一例を示したものです。図の右に行けばいくほど、炎症をしずめる効果は高くなりますが、長期に連用すると副作用が生じる確率が増えます。逆に図の左に行けばいくほど、副作用のリスクは減りますが、効果の即効性は低くなります。適切な時期に適切な薬剤を使うことで、効果は高まり副作用を減らすことができます。そのあたりを診察で適切に指導させていただきます。