膝関節は大腿骨と脛骨という骨の間にあります。膝関節はなめらかに動けるように、半月板と軟骨というつるつるのクッション材があります。年齢・体質・環境による負荷の蓄積をベースに、外傷が加わると、この半月板が断裂することがあります。断裂した半月板はクッション作用を失い、不安定に動くため、関節内で炎症が生じます。このとき、痛みや膝の引っ掛かりが生じます。
半月板が縦に切れて、切れ端が中央に移動します。膝の曲げ伸ばしが高度に阻害されることがあります。
半月板が縦に切れている状態です。その周りに炎症を引き起こすと痛みが生じ、ときに膝に引っ掛かりを感じます。
半月板が水平に切れている状態です。その周りで炎症を引き起こすと痛みが生じ、ときに膝に引っ掛かりを感じます。
初期治療は、お薬とリハビリです。「炎症をしずめつつ、痛みをとるお薬」を内服・外用しながら、リハビリの先生の指導をうけると痛みが早く緩和します。リハビリの先生は、痛みの再燃や病態の進行を防ぐための指導もしてくれます。強い痛みの場合や痛みを早くとりたい場合は、膝関節内に炎症をしずめる薬を注射します。当院では、注射をするときは超音波エコーを用いて、ターゲット部位に正確に打ちますので、安全性が高く、速やかな効果が期待できます。MRIをすることで、半月板の断裂部位や形状が評価でき、関節の中の状態を精密に把握できます。精密検査をして正しい診断をつけましょう。正しい診断と治療によって、痛みは早く軽快し、長期的な好成績を生むことができます。
消炎鎮痛剤はいろいろな種類があり、強さも副作用も異なります。上図は、その一例を示したものです。図の右に行けばいくほど、炎症をしずめる効果は高くなりますが、長期に連用すると副作用が生じる確率が増えます。逆に図の左に行けばいくほど、副作用のリスクは減りますが、効果の即効性は低くなります。適切な時期に適切な薬剤を使うことで、効果は高まり副作用を減らすことができます。そのあたりを診察で適切に指導させていただきます。
半月板断裂は徐々に進行し、膝関節機能は徐々に低下します。半月板断裂が進行する場合や保存加療に抵抗する場合は、関節鏡を用いた低侵襲手術で根治させることができます。特に膝のうごきが悪くてお困りの場合は手術適応になります。院長はこの手術を多く経験しており、手術成績は良好です。長く痛みで困っている方は、ご相談ください。