加齢・体質・環境による負荷などさまざまな要因で仙腸関節に負荷が蓄積するとその部分で炎症をきたして痛みが生じます。腰痛症と類似した症状のため、見分けが難しいです。MRIを撮影して、鑑別していくことが大切です。
加齢や閉経の影響をうけると骨の密度や強度が低下します。そこに尻もちなどの外傷をうけると圧迫骨折を起こすことがあります。
免疫低下状態になると椎間板や骨に細菌が繁殖し、膿を形成することがあります。発熱を伴う腰痛の場合、注意が必要です。
骨や神経に腫瘍ができることがあります。レントゲンではわからないことが多いので頑固な腰痛が続く場合はMRIをとりましょう。
初期治療は、お薬とリハビリです。「炎症をしずめつつ、痛みをとるお薬」を内服・外用しながら、リハビリの先生の指導をうけると痛みが早く緩和します。リハビリの先生は、痛みの再燃を防ぐための指導もしてくれます。強い痛みの場合や痛みを早くとりたい場合は、腰部に炎症をしずめる薬を注射します。当院では、注射をするときは超音波エコーを用いて、ターゲット部位に正確に打ちますので、安全性が高く、速やかな効果が期待できます。MRIをすることで、脊椎や股関節、神経などの状態を精密に把握できます。精密検査をして正しい診断をつけましょう。正しい診断と治療によって、痛みは早く軽快し、長期的な好成績を生むことができます。圧迫骨折や化膿性脊椎炎、脊椎腫瘍は早期の診断と専門病院への紹介が必要になります。速やかな診断と対処が必要です。
消炎鎮痛剤はいろいろな種類があり、強さも副作用も異なります。上図は、その一例を示したものです。図の右に行けばいくほど、炎症をしずめる効果は高くなりますが、長期に連用すると副作用が生じる確率が増えます。逆に図の左に行けばいくほど、副作用のリスクは減りますが、効果の即効性は低くなります。適切な時期に適切な薬剤を使うことで、効果は高まり副作用を減らすことができます。そのあたりを診察で適切に指導させていただきます。
痛みのメカニズムは非常に複雑ですが、あえて単純に表現すると3つの集合の組み合わせで起こっていることが多いです。①局所の炎症 ②神経損傷 ➂心因・ストレス等。まずはじめに、①の炎症を鎮めるお薬を使うことが多いですが、神経系の痛みが疑われる場合、心因的な痛みが疑われる場合には、特有のお薬をだしていきます。それぞれのお薬には必ず、効果と副作用の両者があります。一人一人の状態に合わせて、正しく使用すると、副作用を限りなく少なくしながら、適切な効果を引き出せます。そのあたりの指導を診察でさせていただたいと思います。